講師の関根秀樹先生から、11/6(日)のワークショップについてメッセージを頂きました。とても読みごたえがあり、今からもう面白いので、皆さま是非お読みください。




ぼくは小学生の時、怪獣以外は何も描かなかったので、図工の成績は2で、
図工と音楽は一番苦手できらいな科目でした。
高校の選択科目では、死んでも美術はやりたくないからしかたなく音楽を選びましたが、
楽器は何も弾けず楽譜は読めずで、成績は10段階評価の1!
それがなぜか今、大学で民族楽器の授業をし、多摩美術大学では日本画と油画の専門科目「絵の具実習」を担当しています。
油絵が生まれたのは15世紀のフランドル地方(ベルギー、オランダ)というのが定説ですが、
本当は6~7世紀のアフガニスタンやウズベキスタン~中国の仏教絵画が起源。
法隆寺や正倉院にも世界最古の油絵の一部が残っています。
ヨーロッパで板絵から亜麻のキャンバスに描くようになったのも、麻布に描いた唐や絹布に描いた宋、元、明などの影響。
フランドル地方は良質の亜麻の大産地だったので、繊維や布だけでなく、クルミ油の代わりに亜麻仁油が使われました。
絵の具とは、ごく簡単に言えば、色の粉(顔料)を接着剤で練ったもの。
水溶性のアラビアゴム(アカシアの仲間の樹液)で練れば水彩絵の具。
ロウ(と油)で練り固めればレオナルド・ダ・ヴィンチも作ったクレヨン。動物の皮や骨を煮詰めたニカワで練ったのが日本画。
油で練れば油絵。合成樹脂のアクリルならアクリル絵の具。卵で練った卵テンペラもあります。
日本画や文化財修復の世界では、「ニカワは60℃以下で湯煎しないと接着力がなくなる」と教えていますが、
これは昭和30年代に東京藝大の教授が言い始めた何の根拠もないデタラメ。
ニカワは90℃以上で煮て溶かさないとすぐに腐り、黒カビが生えます。
こうした美術の世界にはびこる常識という名のウソについてもお話ししましょう。
特殊な薬品を使った未来の絵の具の実験もします。


