(1)3月、合気道弐段の允可とともに、凱風館助教補を拝命しました。
おかげさまで、今年は自分を省みる時間が増えました。
内田樹先生が常日頃、「教えることが最良の学びになる」とおっしゃるとおり。
曖昧なまま放っておいた手順や、体術の前提となる立ち方・触れ方、後回しになりがちだった武器の稽古など。
人に伝えるとなって初めて、自分の未熟さを、普段から明るみに出す気になりました。
(これまでも隠しているつもりはなかったので、それは無自覚の怖いところ)
この時期、「自分の未熟さが知れたらラッキー」という心構えになっていたから、高橋透先生に出会えたのかも。
タイミングとは不思議なものだと、あらためて感じます。
(2)4月に、山形・城南治療室の(韓氏意拳教練でもある)高橋透先生とお会いしました。
辻先生がご紹介くださり、つじ鍼灸院にて、透先生の診立てと施術を体験しました。それはもう、圧倒される経験で。
検査で得ている情報量、情報を統合する的確さ、過不足のない手技、患者さんの能動性を損なわない態度…
僕が大切にしたいことを全て、はるか高い水準で体現されている。
その後、定期的にご指導いただくようになり、研鑽の方向性と質を変えたいと思ったことも、開業のきっかけとなりました。
(3)8月、西日本豪雨災害地域でのボランティアに参加しました。
凱風館ゆかりの崎山さんが、広島でボランティア拠点を立ち上げられたので、お手伝いに。十数年ぶりのボランティア活動でした。
今年は、人にとって「天災」続きだったので、
「人為の及ばない自然の中で、いかに生きるか」「いざという時に、自分はどういうふるまいをするのか」
否応なく考えさせられました。
お手伝い自体は、土砂の運び出しや掃除、地元の皆さんととれたて野菜を食べるなど、穏やかなものでした。
ご一緒した小児科医のご夫婦と道中、昨今の子育て事情、今後の支援の可能性など、お話できたこともありがたかったです。
(4)10月、「整体だるま堂」を開業しました。
一念発起という実感もなく、物件を見た瞬間に「なんだか懐かしい場所」に思えて、開業を決めました。
前勤務先である御影ごきげんクリニックから近く、担当患者さんがこちらに移るにもかかわらず、快く応援してくださった久綱院長に感謝。
また、公認会計士の鯉田先生、ホームページ作成については佐本さんにも大変お世話になりました。
凱風館というコミュニティなくしては、実現しなかったと思います。
開業してまだ3ヶ月、これから色々あるでしょうけれど、患者さんに良くなってもらう研鑽さえ続けていれば、何の心配もいらないと分かりました。
患者さんが、ご家族や友人を紹介してくださるのが本当にありがたく、身に沁みます。
(5)10月、山口にて理学療法士向けのヒモトレ講習会をさせていただきました。
ヒモトレには、いくつかの文脈や側面がありそうです。
その一面として、理学療法士が扱うなら、「どのような検査をふまえて、なぜヒモトレを選ぶのか」を自覚した方がよいように思いました。
(とはいえ、それが唯一のヒモトレのあり方とも思っていません)
この機会に、自分なりに整理できてよかったです。機会をくださった山口の皆さん、ありがとうございました。
数学教師であり、朴の森・鍵山記念館を管理なさっている藤野貴之先生とお会いできたのも、必然を感じるタイミングでした。
(6)10月と11月、小学校での保健活動をお手伝いしました。
公立小学校2校で、「すこやかな成長・けがの予防に役立つお話と運動指導を」とご依頼いただきました。
昨年に続いて依頼くださった先生、転任先からお声を掛けてくださった先生のおかげ。
学校ごとの特色を知り、関心をもってもらえるだけのお話、なるべく実情に合った運動、提案した運動を定着させるための工夫など。取り組みの中で、色々と鍛えられました。
このあたりは今後、一対一での施術の精度が上がるほど、一対多の場面でも、よい工夫ができそうに思います。
子ども(や、子どもに関わる大人)の足しになるような取り組みを、これからも続けてまいります。
(7)11月、関根秀樹先生「原始の火を灯す」での火おこし。
前々からお会いしたかった、関根秀樹先生(和光大学非常勤講師)は、縄文人がそのまま今の時代に現れたような、知性と野生のかたまりでした。
「原始の火を灯す」ワークショップで火おこしや竹細工を経験し、この冬は火おこし、焚火を楽しんでいます。
また、同じく11月に、児童文学者・島式子さんのご縁で伺った「子どもの本専門店 メリーゴーランド」の増田喜昭さん。
12月に「フットボールと武術をつなぐ」でお会いした、サッカー指導者・池上正さん。
この方々にも、知性と野生の両面を感じました(子どもを軽んじないという共通点も)。
かっこいい大人に出会えた一年でした。
(8)12月、小関勲先生とのだるま園「大人も子どもも育つバランス」。
バランストレーナー・韓氏意拳教練の小関勲先生。
凱風館での講習会にお越しいただいた後、幸運なことに韓氏意拳個人指導、だるま園でのコラボ講習会が実現しました。
そもそも小関先生に始まる一連の出会いがなければ、大人と子どもの遊び場「だるま園」を始めることは、ありませんでした。
ご参加の皆さんに小関先生を知っていただけたこと、そして小関先生に、今の自分の取り組みを見ていただけたこと、うれしかったです。
ちなみに、だるま園は「大人と子ども」を対象にしており、「親子」向けを謳っていないのですが、まだまだ「親子」講座と思われがちです。
「大人みんなで、子どもみんなをみる」。これから、やり甲斐があり、楽しみなところです。
(9)いつの間にか、たくさん世話人をさせていただきました。
藤田五郎先生(香川県立善通寺養護学校教諭)「関係の中でセラピーを紡ぐ」
高橋佳三先生(びわこ成蹊スポーツ大学教授)「スポーツパフォーマンスを高める古武術」
有田亜希子さん(練心庵ボイトレ講座担当)「声の地図を作る」
そして、先述の小関勲先生。
われながら、センスのよい人選かと思います(笑)
自分が間近でお話を聴きたい先生方、大切な人とお繋ぎしたい先生方をお招きしているうちに、こんなことになりました。
こうして見ると、すべての先生方が、合気道凱風館と韓氏意拳にご縁をお持ちですね。つまり、そういうことです。
(10)今年、初めて10大ニュースを振り返ってみましたが、難しいものです。
どうしても、一つの出来事としてまとめきれない経験や、「ニュースにはならない」日常を支えてくださった皆さんのことが、次々と思い出されます。
来年も、お一人ずつとの時間を大切に。稽古、研鑽を淡々と。命の向かう先へのびやかに。
そんな一年になれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。