月別アーカイブ: 2019年5月

為末大氏による「怪我について」

為末大氏がブログに寄せた文章「怪我について」。
http://tamesue.jp/blog/archives/think/20190520

体の不具合・生活上の不都合に関わる当事者、支援者にとって、ヒントの宝庫だと思いました。

何がすごいかって、無い頭を振り絞ってみると、

1.具体例が豊かで、わかりやすいこと。
2.当事者の視点、支援者の視点、当事者と支援者の関係を俯瞰する第三者の視点、が確立されていること。
の二つです。

1.具体例のわかりやすさについて、
まず「…ドクターには診断はできてもどんな競技人生を送りたいのかの判断はできないことを理解した方がいい」のくだり。
これはドクターを否定しているのではなく、役割分担の話。

たとえば「来週五輪の予選会を控えて痛みがある場合と、高校一年生で痛みがある場合では、同じ診断がなされても競技者の対処の仕方は全く違う」。
前者は痛み止めを打ってでも何とかするだろうし、後者には安静とリハビリが適切だろう、と。

診断から自動的に対応が導かれるのではなく、何らかの意思と計画があってこそ、初めて適切な対応がある。
これは、本当に。

当事者・支援者ともに、適切な対応を選べず、悩み、後悔することがあるけれど、そんな時は得てして、「何に対して」適切なのか見定められていない場合が多いです。

 

具体例のわかりやすさについて、
次に「…怪我は一つのサインになり、なぜ局所的に負荷がかかったのかを考えることで自分の身体動作の理解には相当に役立った」のくだり。

「最初左膝に痛みが出るようになったとき、ビデオをみていると左膝が外に向いて右膝だけ前を向いていたのでそれが原因だと思い、両膝をまっすぐ向けるように矯正した。すると…」
に続く過程は、能動性をもって、もがいた当事者ならではの貴重な実例。

支援者が何かしら役に立てるとしたら、この過程を整理することと、当事者の再学習が進むように体へ働きかけること。

特に徒手的な治療に携わるのなら、過程を整理するための検査の精度、その後の再学習を促すためのアプローチの質が問われると思いました。

 

2.当事者、支援者、第三者の視点が確立されていることについて、

「競技者でカルト的な考えにハマるときは怪我やスランプなど精神的に追い込まれた時が多い」のくだり。

「健全な時には、答えを出さないで複雑なものを複雑なまま置いておけるが、怪我をしているときは精神的に弱っているので、すっきりと世の中を説明してくれるような答えをつい縋りたくなってしまう。」
この一文の中には、弱っている当事者、(時として無自覚に)当事者を支配してしまう支援者、当事者と支援者の均衡が損なわれたことに気づく第三者、が存在します。

このように三者の視点が保てていると、損なわれやすい当事者と支援者の均衡を、何とか保てるのではないかと思いました。

体の不具合や生活上の不都合に悩んでいる方、そのような当事者に関わる方、読んでみてはいかがでしょうか。

まるだっこの会5月 ご案内

5月23日(木)10:30~12:00
5月29日(水)10:30~12:00

場所:整体だるま堂(JR神戸線住吉駅 歩5分)
参加費:3000円/1家族
定員:2組

「転んでも只では起きない」体をはぐくむ、まるだっこ。
たとえば、
道具を使う以前の、だっことおんぶのコツ
一枚の布や、昔ながらのへこおびを使った、だっことおんぶ
お手持ちのだっこ紐の調整、アドバイス
など、ご希望や現状に合わせて進めていきます。

だっことおんぶの経験を通じて、
ご自分の体の快不快
子どもへの愛おしさ
子どもの体のたくましさ
などが、立ち上がってきますよ。

担当:中西衣理(保健師、ベビーウェアリングコンシェルジュ)
お問い合わせ・ご予約は、
「整体だるま堂 住吉」ホームページ内のお問い合わせフォーム
または、info★daruma7korobi8oki.com(←★を@に変えて)まで。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

高橋透先生「マニュアルメディスン講習会」第2回 ご案内

1. 日時
① 2019年5月25日(土) 13:30~16:30 (13:15受付開始)
② 2019年5月25日(土) 17:00~20:00 (16:45受付開始)
③ 2019年5月26日(日)  9:00~12:00  (8:45受付開始)

※1コマだけのご受講も可能ですが、内容に連続性・関係性があるので、できるだけ連続・継続してのご受講をお勧めいたします。
※2019年3月の第1回の講習内容について、自主練習会を行います。中西宛てにお問い合わせいただけば、詳細をご案内します(第1回参加者には当方からお知らせします)。第2回から初参加の場合、自主練習会に出ておかれると、導入が楽かと思います。

2. 会場:
日時①②について:御影ごきげんクリニック2階 リハビリテーション室
(阪急神戸線「御影」駅徒歩1分、〒658-0048 神戸市東灘区御影郡家2丁目16-10)
日時③について :神戸市立東灘区民センター9階 音楽室
(JR神戸線「住吉」駅徒歩3分、〒658-0052 神戸市東灘区住吉東町5丁目1-16)

3. 講習会費
1コマ受講:8,000円、 2コマ受講:15,000円、 3コマ受講:21,000円

4. 定員:10名

5. お申込方法:
世話人・中西眞(nmako3@gmail.com)宛てに、メールにて
(1) お名前、(2)参加希望コマ、(3)職種と経験年数、(4)ご所属(任意)をお知らせください。

 

第1回の様子はこちら↓

高橋透先生「マニュアルメディスン講習会」第1回 ご報告

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せっかく講習会に出たのに、テクニックを習っただけで、それを臨床のどこで生かすか分からない。
講師と同じようにやったつもりで、同じ現象に至らない。
講師が神格化されて、質問しづらい。
講習会で学んだことが、練習できないまま(自分にとって何が課題かわからないまま)お蔵入り。

そんな経験、ありませんか(僕にはあります。とほほ)

検査、触れ方、適応・優先度の判断など。方法論以前の学びが多いという点で、他に例をみない講習会です。
方法論以前の学びが多ければ、方法論の意味と良さも、より分かる。
そして何よりこの学び方ができると、日々の臨床・練習で、治療者自身の課題がはっきりします。

追究すれば果てがない分野だからこそ、目の前の課題は、できるだけ明確に。
参加者一人一人の持ち帰る課題が異なり、次回まで自主練習会を設けていることも、本講習会の特長です。

マニュアルメディスンに神秘的な印象をお持ちで、敬遠してきた医療従事者にも、おすすめできる内容です。
(体を介して、対象者の価値観などが垣間見えることもありますが、それはそれとして)

目安として2年間、12回でカリキュラムが一巡するようお願いしています。
もちろん今後、カリキュラム途中での参加もできますが、第2回という時機を逃さず、乗っかってください。

山形在住の高橋透先生に、神戸まで2か月に一度お越しいただき、この参加費。
世話人としては、胃が痛むほど申し訳ないのですが、参加者にとっては(他に表現が見つからないので)お得です。

医療系有資格者が対象です。参加したいけれど、自分が対象かどうかわからない場合は、メールにてお問合せください。

 

だるま園「ころびかた教室」@アースデイ神戸 ご報告

5月4日、5日開催のアースデイ神戸。
「かんじる、つながる、かえられる」をテーマに、環境や、多文化共生に思いをはせる二日間。
食、衣、育などについて、お店やライブ、ワークショップが集まっていました。

その中で開かせていただいた、だるま園「ころびかた教室」。
「ころびかた自体は練習できないのに、どうして上手な人と下手な人がいるんだろう?」
という問いかけから始まりました。

 

今回は、
「手をつく」と「前脚で着地する」の、構造的な違い。
生き生きとした反射を保つための、いくつかの条件。
など、「ころぶこと」に詰まったヒントをお伝えしました。

 

2歳から50歳代まで、みなさん楽しんでくださり、それぞれの目標もクリアできたので何よりです。
これからの日々の過ごし方に、ささやかでも役に立てば幸いです。

うちの子ども達も、たくさんの大人、学生のみなさんに遊んでもらい、はしゃいでいました。
身の丈でできる「共生」について、あらためて考え、感謝した二日間でした。

ありがとうございました!

 

だるま園5月「ころびかた」教室 ご案内

5月のだるま園は、アースデイ神戸にて「ころびかた」教室を開きます。

https://earthdaykobe.com/about.html

理学療法士が伝えたい「ころびかた」教室
日時:5月4日(土)、5日(日) どちらも14:00~15:00
場所:みなとのもり公園(神戸震災復興記念公園)芝生会場
参加費:一人500円

ころんでも、大けがしない。いつでも楽しくころがれる。
「ころぶ」「ころがる」の中につまった、大地と仲良く、すこやかな体を育むヒントをお伝えします。

アースデイ神戸2019