カテゴリー別アーカイブ: 施術のこと

カルテ整理の時間

おかげさまで、開業から4ヵ月。
お越しくださった患者さんの分だけ、カルテも増えてきたので、一旦すべての患者さんについて整理しました。
カルテを見ながら、「関わる目的、現状、今後の見通し」を(自分で自分に)喋ってみる、というものです。

この作業は、勤務か開業かに関わらず必要ですし、複数で働いている方が「検討会」は開きやすく、より客観性が担保されるのかもしれません。
けれど僕としては、開業し一人職場になってみて、この作業がずいぶん捗るようになりました。
こちらが一人だと、介在する条件が少ないぶん、トライアル&エラーを展開しやすいのかな、なんて想像しています。
あるいは、ただのわがままな気質によるものかもしれません。

トライアル&エラーを展開しやすくなったのは、マニュアル・メディスンの原理を学んでいる影響も大きいです。

筋骨格系、それに付随する血管、リンパ、神経という、多くの要素と相互の関係性を、それぞれ特殊な検査で捉えていくのは、とても大変です。
その点、マニュアル・メディスンでは、四肢長・アライメント評価、可動性検査、触診(組織の質感)、筋力検査などの、「ごく普通の」評価・検査が主です。
これだと、「頭の中が忙しくなりすぎず」、とてもありがたいのです。

さらに、それぞれの結果を相互補完的に解釈すると、一人の患者さんについて、結果・経過を計るための指標が見出しやすいです。
その指標と、患者さんの状態を、思い込みなく追っていくと、少なくとも見当外れのことはしなくて済みます(見当外れになっていれば気づけます)。
そんなわけでカルテには、必要なかぎりの検査結果と指標、自分のしたこと、を記載しています。

(謙遜でもなく)たいした事ができないので、このカルテ整理の時間は続けていきます。

高橋透先生「マニュアルメディスン講習会」ご案内

この度、高橋透先生(柔道整復師、城南治療室院長)をお招きし、講習会を開催いたします。

高橋先生はマニュアルメディスン(オステオパシー、アプライドキネシオロジー、カイロプラクティック等)に精通し、山形市にて保険外での治療室を二十年以上運営されています。東京でも定期的に講習会・施術をなさっており、分野を問わず多くの方々からの信頼が厚い治療家です。

特筆すべきは、「対症療法にとどまらず、かつ、対象者の自覚症状に近いところから検査・施術を進めていける」力量です。

マニュアルメディスンでは、全体性の把握に傾注するあまり、細部の検査の妥当性や、検査結果どうしの整合性、介入ポイントの優先順位が曖昧なまま、施術を進めてしまうおそれもあります。その点、高橋先生は「可動性検査、筋力検査、四肢長」など、誰の目にも(対象者や他医療職にとっても)明らかな検査にもとづき、介入ポイントの優先順位を立てて、過不足ない施術をされます。
そのような力量の前提となっている、触れ方・検査技術はもちろんのこと、臨床で活用しやすい、治癒率の高い施術についても、惜しみなく伝えてくださる予定です。

次回以降、奇数月に定期的にお招きする予定ですから、「確かな触れ方・検査技術のもと、優先順位を立てて施術を進めたい」という方々には、貴重な学びの機会になると存じます。ぜひこの機会を逃さず、お越しください。

1. 日時
① 2019年3月23日(土) 13:30~16:30 (13:15受付開始)
② 2019年3月23日(土) 17:00~20:00 (16:45受付開始)
③ 2019年3月24日(日)  9:00~12:00  (8:45受付開始)

※1コマだけのご受講も可能ですが、内容に連続性・関係性があるので、できるだけ連続・継続してのご受講をお勧めいたします。今回、①および③の冒頭に、一連の検査・施術をデモンストレーションとして見せていただきます。高橋先生の力量を体験したい方は、①または③にお越しのうえ、次回以降の継続受講をご検討ください。

2. 会場:

日時①②について:御影ごきげんクリニック2階 リハビリテーション室
(阪急神戸線「御影」駅徒歩1分、〒658-0048 神戸市東灘区御影郡家2丁目16-10)

日時③について :神戸市立東灘区民センター9階 音楽室
(JR神戸線「住吉」駅徒歩3分、〒658-0052 神戸市東灘区住吉東町5丁目1-16)

3. 講習会費
1コマ受講:8,000円、 2コマ受講:15,000円、 3コマ受講:21,000円

4. 定員:10名

5. お申込方法:
世話人・中西眞(nmako3@gmail.com)宛てに、メールにて
(1) お名前、(2)参加希望日時、(3)職種と経験年数、(4)ご所属(任意)をお知らせください。

講習会『「選ばれるセラピスト」の条件 ~徒手療法、運動療法の磨き方~』ご案内

この度、小西貴先生(理学療法士、医療法人快生会 本部事務局)をお招きし、2回シリーズの講習会を開催いたします。

※第1回は終了しました。様子はこちら→ https://daruma7korobi8oki.com/2019/01/27/

患者さん、利用者さんから「選ばれるセラピスト」であるために、何が必要か。この問いには、おそらく様々な答えがあり、セラピストごとに研鑽の方針をお持ちのことと思います。

なかでも今回は、対象者の身体に「適切に」触れ、身体にまつわる状況をより良くすることで「選ばれる」という、比較的シンプルな方針のもと、講習会を企画いたしました。

セラピストの立場からも、患者さん、利用者さんに喜んでいただけた体験は、
その後の学びを駆動するために最良のエネルギーになると思います。小西先生は、そのエネルギーを大切に、臨床の場で「選ばれるセラピスト」を数多く育ててこられた経験をお持ちです。

第2回は、小西先生が経験した難治例をふまえ、セラピストがどれほど緻密に情報を得る必要があるか、解決に向けてどのような行動の選択肢があるか(つまり、セラピストが自分をいかに「磨く」か)、検討する予定です。

主体的な学びの機会として、ぜひご参加ください。

1. 日時
2019年3月3日(日) 13時30分~17時30分(13時15分受付開始)

2. 会場
御影ごきげんクリニック リハビリテーション室
阪急神戸線「御影」駅 南東徒歩1分

3. 講習会費
4,000円

4. 定員
10名

5. お申込方法
世話人・中西眞(nmako3@gmail.com)宛てに、メールにて
お名前、職種と経験年数、ご所属(任意)をお知らせください。

6.小西 貴(こにし たかし)先生プロフィール

医療法人快生会 本部事務局 所属
(資格)理学療法士
入谷式足底板中級コース卒業

2005:沖縄県 北部地区医師会病院 リハビリテーション室入職
2007:東京都 永生クリニック   リハビリテーション科入職
2008:大阪府 社会福祉法人慶生会 リハビリテーション室入職
2013:沖縄県 北部地区医師会病院 リハビリテーション室入職
2015:医療法人快生会本部事務局入職

急性期、外来、訪問、自費など、多様な分野で臨床を経験。
医療法人快生会では、出向先で訪看ステーションの立ち上げ、デイサービス5事業所の運営、サービス品質の向上を中心に携わる。
また、現在は物販や産業ヘルスケアにも携わっている。

小西貴先生講習会『「選ばれるセラピスト」の条件』ご報告

小西貴先生(理学療法士、医療法人快生会本部事務局)をお招きし、講習会を開きました。

『「選ばれるセラピスト」の条件 ~徒手療法と運動療法の磨き方~』2回シリーズの第1回。

「目の前の相手にどれだけ応えられるか。」
これを自分に問い続けることで、自ずと臨床推論や手技が磨かれていく。
そんなサイクルを回し続けている小西先生から、療法はもちろん、「学び方」も学んでしまおうという試みです。

 

 

クライアントから信頼されるために、

・相手の”当たり前”(価値観)を十二分に把握して接すること
・関わる”目的”、”成果”、”期間”をしっかりと説明できること
・即時効果を出せること
・持続効果のために、あらゆる手段を検討し続ける姿勢をもつこと

という、すがすがしいほど明確な「条件」を示していただき、始まった講習会。

題材として、いくつかの徒手療法、運動療法を例示しながら進めていただきましたが、これらを題材に選んでくださった意図も、「クライアントをよりよく知る」という一点に集約されていて、ありがたかったです。

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個人的に印象に残ったこととしては(小西先生が伝えてくださった通りではないですが)、

・筋骨格系への評価・介入が的確にできると、「生活レベルの運動負荷が、その人の体にとって好ましいかどうか」推察しうる。
・それが推察できると、持続効果を期待する場合の、介入やアドバイスが適切になる(運動負荷をかける前に、代謝・栄養状態に関わる必要性が高いことも)。
・同じく筋骨格系への評価・介入が的確だと、「心的ストレス」「内臓体性反射」の影響も、推し量れる。問診の展開が好ましくなる。
・介入結果として、「検査上の変化なし」「検査上は変化するがパフォーマンスに変化なし」「パフォーマンスは変化するが自覚的変化なし」という情報が、次の展開へのヒントになる。
・そのためにも、介入刺激は適切であることが必要。

その人が「なぜ」そのようになっているのか?
知っていくための糸口を、たくさん頂きました。

さて、今回の講習会を皮切りに、近畿圏の仲間と、定期的・持続的に学ぶ場を設けていく予定です。

小西先生の『「選ばれるセラピスト」の条件 ~徒手療法と運動療法の磨き方~』第2回は、2019年3月3日(日)午後。

また、山形から高橋透先生をお招きし、マニュアルメディスン講習会を行います(以降、奇数月に継続予定)。
2019年3月23日(土)午後~夜、24日(日)午前です。

詳しくは、下記リンクにてご案内しています。

https://daruma7korobi8oki.com/category/お知らせ/

ともに研鑽できれば幸いです。

ヒモトレをお伝えする時、大切にしたいこと

「ヒモトレ」というのは、小関勲先生(バランストレーナー、韓氏意拳教練)が提案されている方法、ないし価値観です。

やり方は単純で、「ヒモに体の一部をあずけて動く」、「ヒモを体にゆるく巻く(添わせる)」のどちらかです。

それだけでも、体の状態や、動きの質が変わります。

動く時の環境、動く時の前提条件が変わるので、それは当然、変わります(ヒモでの刺激が必要十分かはさておき、何らかの刺激があれば生体は反応しますものね)。

その時の、その人にとって、好ましい変化が起こることも多いですし、「ヒモ一本でこれだけ変わるんだから、私の体って面白い」という糸口にもなります。
小関先生はヒモトレの説明をする時、「体の色合いを観る」、「体の経験を通じて、自分との距離感を知る」といった表現を使われます。

僕自身、小関先生から「自分の体の面白さ、色合いや距離感を観る面白さ」という糸口をもらい、自他の観方や稽古に反映させてきました。

頭や意識が先行し、体(という、本来コントロールの及ばない自然)をもコントロールの対象と捉えがち(そして結果、余計な苦しみも抱えがち)な昨今、体を通じた経験や、体を観察するという立ち位置は、とても貴重です。

そのような文脈で、ヒモトレはとてもおすすめです。

 

ただし、何らかの療法に類する文脈でヒモトレを捉えるなら、それなりの注意が必要だと僕は思います。

ヒモトレはその時、その場で好ましい変化を経験できることが多く、一見「産みの苦しみ」が少ないので、(その呆気なさが良い方にも転じるし)悪い方にも転じる可能性があります。

悪い方に転じるというのは、たとえば「症状などの不都合から学べたはずの自分の傾向に、気付かないまま経過してしまう」ことです。

このことを、つじ鍼灸院の辻敦志先生が再三、提言してくださっています。

 

たとえば「手を挙げにくい」という不都合があったとして、ヒモを背中に(タスキ状に)添わせると、手を挙げやすくなる場合があります(よくあります)。

その経験から、「手を挙げる時に背中が参加していなかったんだな」という学びがあれば、ヒモトレの面白さが広がっていくと思います。

しかし、「手を挙げやすくするには、タスキがよい」と解釈してしまうと、自分の傾向に気づかないまま、目的を失った方法だけが残り続けてしまいます。

これでは、もったいないです。

「やってりゃ良いことあるだろう」なんて、ご利益を期待しても、体は応えてくれない。それどころか、よりバランスを崩すこともあります。

 

また、何らかの療法に類する文脈でヒモトレを捉えるなら、気を付けるべきことが、もう一点。

それは、「はたしてその刺激が、必要十分で、目的に適っているか」について、(提供する側が)自省することです。

これはヒモトレ特有のことではなく、インソールやテーピング、マウスピースなど、(本当は徒手や運動も)何らかの刺激を療法として扱う場合には、常に必要だと思います。

 

「じゃあ、あなたはどう扱っているのか」と問われれば。

僕自身は、療法に類する文脈でヒモトレを捉える時には、

・方針の説明にあたって、症状部位と他部位との関係性を知っていただくために使う(これは徒手検査の精度が上がれば、検査だけでできるはず)

・担当患者さんのご家族にヒモトレを伝え、介助方法として役立ててもらう(これができるのは本当にありがたい)

・次回の施術までの間、より好ましい状態が保てるように、セルフコンディショニングとしてお伝えする(その場合、使い方や観察のポイントも含めて伝えます)

このような扱い方です。(施術の手段としては一切使っていません)

どうでしょうか。

正直、ちょっと「面倒くさい」話ですよね。

けれどどんな方法にせよ、療法を謳うのなら、「より好ましい変化を及ぼし、より納得のいく生(死)をお手伝いする」という約束を交わしているのですから、提供する側は常に自省が求められて、当然だと思います。

さらに申し上げるなら、自省している「つもり」ではなく、自省するための、明確な規範(たとえば精確な徒手検査)が必要です。

 

とはいえ、はじめに述べたとおり、僕が小関先生から受け取ったヒモトレの面白さは、「体を通じた経験」や「体を観察するという立ち位置」にあるので、必ずしも、療法に類する文脈でヒモトレを捉えているわけではありません。

むしろ、僕が講習会などでお伝えする場合は(理学療法士向けなど特別な場合を除いて)、そちらの文脈を強調しているつもりです。

たとえば、たすき掛けを「良い」と感じ、身支度としていた時代の人たちは、どんな体の経験・感性だったのか。

そんなことに興味を持ち、今の価値観が全てではないと知れたら、体と一緒に過ごす時間が、より豊かになると思っています。

 

こんなふうに、僕がヒモトレをお伝えする時には、伝える側・受け取る側がお互いに、どのような文脈で捉えているのかを大切にしておきたいです。

誰に求められたわけでもないし、これで上手くいくのかも分からないけれど、「よきもの」のよさを損なわないように、と思います。

5歳の女の子から教わったこと

昨日診せて頂いた、5歳の女の子。

症状としては、両手の中指と左手親指の、バネ指(指を握った後、伸ばしきるのが難しく、クリック感がある)。
1~2歳から、その傾向はあったそうです。
手術を勧められた経験もありますが、親御さんの希望は、「完全に治らなくていいので、うまく付き合いながら、成長に合わせて様子をみたい」。

手を診せてもらうと、確かに手根骨・中手骨は、おっしゃる症状が出そうな配列。
遊びがてらジャンプしてもらうと、頭部と手首(特に左)は、反る方への緊張が強まりやすい。
右骨盤隔膜、両横隔膜、左後頭下の可動性低下。概ねそれと一致する筋力低下。

このような所見だったので、良くなる可能性を感じ、触らせてもらいました。
後頭下を触り始めると、それまで賑やかだった女の子が寝息を立て、手足をピクピク動かしているので、治る力に感動しつつ5分ほど、数か所を施術。
施術後、可動性と筋力の変化が見て取れ、バネ指の症状もなくなったので、今後の方針を親御さんと相談しました。

この度は幸い、親御さんも治療者なので、先のような所見とともに、ヒモトレの鉢巻きと胸ヒモ(可動性の落ちていた高さに)をお伝えしました。
家にいる時・眠る時に、気が向けば巻くという程度で、2週間ほど経過を観ることにします。
親御さんの観る目が確かなのと、またお会いできるのがわかっているから、できる選択です。

今回、このようにご報告するのは、「こんなに上手く対処できて、すごいだろ」と言いたいわけではなく(むしろ書くほど、未熟さが浮き彫りになって恥ずかしい)。
「評価・検査をすると、自分の手におえる状態か否かがわかり、自分が手放して良いこともわかる」という経験が、あらためて新鮮だったのです。

評価・検査という言葉自体、治療者でなければ、馴染みがないかもしれません。評価といっても点数付けをするわけではなく、体の特徴を見出し、関わるうえでの優先度を付けるような過程です。
僕が知っている治療者は、(言語化するか否かは別として)この過程が精密、かつ、教育的です。
評価してもらう段階で、体を通して、「こっちに動くと良いよ」「こっちへ行ってみたら、どう?」というメッセージを感じます。

それは一つ、治療者を選んで頂く尺度になると思いますから、どうぞ頭の片隅に置いてください。
我ながら「どの口が言うんじゃ」と思いますが、自戒を込めて…