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「追っかける」

(ヒモトレフェス2019の補足、のようなもの①)

「追っかける」ように触れる。

このことは、「アクティブタッチ」”active touch”とも表現できます。
(子どもの発達に関わる分野では、この表現が多いです)

「追っかける」の対になる態度として、僕が二つ思い浮かべるのは、

「どうせ、こうなるだろう」
(結果の先読み)

「追いかけさせられる」
(他の誰かが定めた目標などを)

というものです。

そうではなく、内からの衝動、外への必然性があって、「追っかける」。

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この写真の植物は、命というプログラム(内)をもって、日光や水(外)へ向けて、
伸びていきます。

それを観ていると、「私はなぜ、この働きを勝手にやめてしまうのかな」
という問いが立ちます。

その問いを、思弁的にではなく、体でもって、程よく「ふわっと」知れるのが
ヒモトレだと、僕は思っています。
(時として、この「ふわっと」が曲者ですが、さておき)

発案者の小関勲先生が「ヒモトレという名前は外していい」と言うように、
名前や方法以前の、このような態度や構えを、僕は大切にしたいです。

今回のヒモトレフェスでは、

向かいの人と、指先どうしを合わせて、向かいの人がしゃがむのを「追っかける」。
四つ這いになって、背中に人を乗せ、乗った人が動くのを、背中で「追っかける」。

という経験を、ヒモの有り無しで比べてみました。

ヒモがあると確かに、「追っかける」のが滑らかになるし、
「追っかけてもらう」側も、動きがより自由になります。

そこから、「では、どうすれば…」という、それぞれの工夫が始まれば、
とてもありがたいです。

ちなみに今回、「追いかける」という余所行きの言葉ではなく、
「追っかける」という言葉を選んだのは、
マニュアルメディスンをご指導くださる高橋透先生の影響です。

検査・施術においても、現象を「追っかけていく」態度が求められるのですが、
透先生が山形弁をまじえて「追っかける」という言葉をおっしゃる時、
何とも言えず心地よい、勢いを感じるのです。

以上、今回試みたことと、その背景、そして出典(?)でした。

ヒモトレfestival 2019

ひもトレフェス2019
DAY1で発表させていただきました。FB_IMG_1565863842082

ワークショップ形式で、施術と遊びの共有項をご紹介しました。

主体性をもって「追っかける」ように触れること。
体の構えができることで、情報の取捨選択がよくなること。
これらは今、僕自身が最も必然性を感じて、取り組んでいることです。

深めていけばキリのない事柄ですが、学びのきっかけとして、
いくらかでも皆さまの心に残ればうれしいです。

そして今回、印象に残った言葉。

ひもトレ発案者・小関勲先生
「他者の評価軸や、短い時間軸から一旦離れて(適度に距離をとって)、自分を知っていく」

武術家・甲野善紀先生
「施す側の状態も、結果を左右する要因になっているのでは」

この言葉から思い浮かぶ景色が、去年とは全然違います。

という真面目な感想もありつつ、
広島の安田真行さんによるバランスからだ塾体験、つくばの小磯直樹先生による「釣り合い」講習、
驚きの連続で、おんもしろかったなー

よい姿勢を育むために、知っておきたいこと

理学療法士として、近隣小学校の保健委員会活動に呼んでいただくようになり、3年目。
今年度のテーマは、「よい姿勢を育むために、知っておきたいこと」。

また、今年度は児童向けだけでなく、教員研修の場でも、お伝えする機会をもらいました。
児童に伝えたことが実を結んでいるか、日々、見守ってくださるのは先生方なので、
これはとても有り難い機会でした。

伝え方について思案する中、念頭にあったのは、
・子ども一人一人が、姿勢の「よい/よくない」に気づける。その感性を育みたい。
・おとな一人一人が、何をもって「よい/よくない」と言っているのか。それを自覚したい。
という思いです。

それは先日、保健委員会の時間に、小学5~6年生へ「何のために姿勢よくするんやろ?」と問いかけた時、
「周りのみんなの気分がいいから」
「(学校の)外から来た人達の気分がいいから」
という答えが返ってきたことに、ちょっと驚いたからです。

どんな答えが返ってくるか予想していなかったのと、
声に出して答えてくれたこと自体がうれしかったので、
「ちょっと」驚くで済みました。

そして子ども達が、まず自分のためでなく、他人の目のために「姿勢よくしなくちゃ」と思うのなら、
大人の側から、ただ「姿勢よくしなさい」と言ったり、
役立つとされる運動だけ伝えても、ピンとこないかもしれないな、という気がしました。

そこで、まどろっこしいのですが、
・姿勢って何?(いつから、どんな意味で使われているのか?)
・何をもって「よい/よくない」を言えるのか?
という問いから、話を始めました。

(僕なりの答えについては、文末に…)

案外、児童も先生も、このパートを面白そうに聞いてくださったので、安心しました。

その後のパート、よい姿勢を育むための具体的な手立てについては、実際に体を動かすので、やはり盛り上がります。

今回は、
①「よい/よくない」の目安になる、体のきざし
②「よくない」に気づいた時の、処し方
③体の構造を大切に、まずは「上下」の運動を
④体の構造を大切に、手足の協調運動を
という段階を踏んでみました。

これは、武術や徒手療法をご指導くださる先生方の知恵を、いただきました。

学校の先生方に興味を持ってもらえると、俄然、取り組みも盛り上がってきます。
「せっかくだから、垂直跳びや立ち幅跳びを記録して、経過を追っていこう」
などのアイディアも、実現しそうです。

それはそれとして、子ども達の中に、体や自分に気を向ける種みたいなものが残れば、
こんなに嬉しいことはありません。

ちなみに、「姿勢」って何かといえば、
独語Korperhaltung(英語Body+Posture)の日本語訳(明治時代のこと)
①体の構え。②物事に対する構え。態度。(三省堂 大辞林)

何をもって「よい/よくない」とするか?については、
構えとして、目的に適っているなら「よい」。適っていなければ「よくない」。

そこで、目的を「生きるために学ぶ」こととするなら、「よい/よくない」の目安は、
生命活動(呼吸、飲み込み、脈拍、消化)と、身体の動性。それらに支えられた意欲。

なお、子どもを育むうえでは、「一見、よい姿勢(構えになっていない、目的に適っていない)」に要注意。
と、僕は考えました。

「境界なきアスリートサポート」参加報告

医師・AT・鍼灸師・柔整師・PT有志による「境界なきアスリートサポート」。

この稀有なチーム主催の、
藤井康成先生(鹿屋体育大学教授)『スポーツ障害におけるメディカルチェックの重要性』を受講しました。

藤井先生は、肩・肘がご専門の、手術も担当する整形外科医です。
診察では、肩・肘のみならず、胸郭・骨盤帯・足部を含めた機能診断をもとに、
手術適応、術後の経過などについて、判断なさっています。
もしかすると、一般的な医師の診察風景とは、印象が違うかもしれません。

講義でも、診療のデモンストレーションを見せてくださいました。
のっけから、「機能障害=知覚情報入力障害」という見解を示されたので、びっくり。

つまり、「悪い」とされている部位・現象も、入力障害部位に適切な刺激入力があれば、改善されうる。
逆に言えば、生活習慣も含めた入力障害が変わらなければ、「悪い」部位・現象も改善しない。
整形外科疾患も、「生活習慣病」と例えていらしたのが、印象的でした。

患部自体の運動傾向の把握、適切な刺激入力の選択など、とても勉強になりました。

また、
・モーションとカウンターモーション
・動き終わりに、次の予備動作が入っているか(動き終わりから、まだ動けるか)
など、武術にリンクする学びも多く。

誤解を怖れずに言うと、医師の本気、すごいです。
(山口光圀先生に感銘を受けて、今のような診療を築かれたというお話に、納得)

おかげさまで、自分の立ち位置、やるべきことも、より明確にわかってきました。
藤井先生、貴重な機会をくださった「境界なきアスリートサポート」の皆さま、ありがとうございました!

 

 

まるだっこの会7月 ご報告

大学生の頃の後輩が、3ヶ月の赤ちゃんと参加してくれました。

「腰が痛くならない抱っこを知りたい」とのこと。

まずは素手の抱っこについて、だっこする位置、自分の体の使い方、赤ちゃんの抱かれる姿勢などのポイントを話しながら、体験してもらい。
その後、いま使っている抱っこ紐の調整をさせてもらいました。

長く使ってきた抱っこ紐ですが、
「あ、そうだったんですね」
「ここも使うんですね」
と、いろいろ発見してもらえました。

あとは普段、上の子の保育園の送り迎えの時に、赤ちゃんを抱っこする機会が多いので、
サッと使える「スリング」と、腰の負担を分散できる「へこおびの前結び」を体験してもらいました。
どちらも気に入った様子で、赤ちゃんもご機嫌よく抱かれていました。

大学卒業以来、10年以上会っていなかったけれど、子育てするお母さんになっても、
あの当時のまま伸び伸びとしている姿が見られて、すごく嬉しかったです。

 

「まるだっこの会」ラジオ出演予定

ひょんなことから、「まるだっこの会」について、ラジオの取材をいただきました。

収録に来てくださったのは、Kiss FM KOBE「アットイーズ」の、井口絵海さん。

だっことおんぶで育める経験や、

ベビーウェアリングとベビーキャリングそれぞれの特性、

スリングだっこや兵児帯おんぶをお伝えする風景など、

楽しくお伝えできました。

(井口さん、声はもちろん素敵ですが、さすがにとても聞き上手!)

 

ところで、この機会に、「まるだっこの会」の名前に込めた思いを。

「まるだっこ」と言っても、赤ちゃんを「まるく」だっこするという意味ではありません。

実は、「だるま」を逆さまにして、「まるだ」っこ。

世の中を時々、逆立ちして眺めてみてはどうでしょう。そんな思いを表しています。

今回の収録内容は、7月2日(火)午後12時8分~の番組内で、放送される予定です。

”radiko”や”WIZ RADIO”などのアプリなら、放送後にも遡って聴けるそうなので、もしよければお聴きください。

 

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為末大氏による「怪我について」

為末大氏がブログに寄せた文章「怪我について」。
http://tamesue.jp/blog/archives/think/20190520

体の不具合・生活上の不都合に関わる当事者、支援者にとって、ヒントの宝庫だと思いました。

何がすごいかって、無い頭を振り絞ってみると、

1.具体例が豊かで、わかりやすいこと。
2.当事者の視点、支援者の視点、当事者と支援者の関係を俯瞰する第三者の視点、が確立されていること。
の二つです。

1.具体例のわかりやすさについて、
まず「…ドクターには診断はできてもどんな競技人生を送りたいのかの判断はできないことを理解した方がいい」のくだり。
これはドクターを否定しているのではなく、役割分担の話。

たとえば「来週五輪の予選会を控えて痛みがある場合と、高校一年生で痛みがある場合では、同じ診断がなされても競技者の対処の仕方は全く違う」。
前者は痛み止めを打ってでも何とかするだろうし、後者には安静とリハビリが適切だろう、と。

診断から自動的に対応が導かれるのではなく、何らかの意思と計画があってこそ、初めて適切な対応がある。
これは、本当に。

当事者・支援者ともに、適切な対応を選べず、悩み、後悔することがあるけれど、そんな時は得てして、「何に対して」適切なのか見定められていない場合が多いです。

 

具体例のわかりやすさについて、
次に「…怪我は一つのサインになり、なぜ局所的に負荷がかかったのかを考えることで自分の身体動作の理解には相当に役立った」のくだり。

「最初左膝に痛みが出るようになったとき、ビデオをみていると左膝が外に向いて右膝だけ前を向いていたのでそれが原因だと思い、両膝をまっすぐ向けるように矯正した。すると…」
に続く過程は、能動性をもって、もがいた当事者ならではの貴重な実例。

支援者が何かしら役に立てるとしたら、この過程を整理することと、当事者の再学習が進むように体へ働きかけること。

特に徒手的な治療に携わるのなら、過程を整理するための検査の精度、その後の再学習を促すためのアプローチの質が問われると思いました。

 

2.当事者、支援者、第三者の視点が確立されていることについて、

「競技者でカルト的な考えにハマるときは怪我やスランプなど精神的に追い込まれた時が多い」のくだり。

「健全な時には、答えを出さないで複雑なものを複雑なまま置いておけるが、怪我をしているときは精神的に弱っているので、すっきりと世の中を説明してくれるような答えをつい縋りたくなってしまう。」
この一文の中には、弱っている当事者、(時として無自覚に)当事者を支配してしまう支援者、当事者と支援者の均衡が損なわれたことに気づく第三者、が存在します。

このように三者の視点が保てていると、損なわれやすい当事者と支援者の均衡を、何とか保てるのではないかと思いました。

体の不具合や生活上の不都合に悩んでいる方、そのような当事者に関わる方、読んでみてはいかがでしょうか。