カテゴリー別アーカイブ: だるま園

よい姿勢を育むために、知っておきたいこと

理学療法士として、近隣小学校の保健委員会活動に呼んでいただくようになり、3年目。
今年度のテーマは、「よい姿勢を育むために、知っておきたいこと」。

また、今年度は児童向けだけでなく、教員研修の場でも、お伝えする機会をもらいました。
児童に伝えたことが実を結んでいるか、日々、見守ってくださるのは先生方なので、
これはとても有り難い機会でした。

伝え方について思案する中、念頭にあったのは、
・子ども一人一人が、姿勢の「よい/よくない」に気づける。その感性を育みたい。
・おとな一人一人が、何をもって「よい/よくない」と言っているのか。それを自覚したい。
という思いです。

それは先日、保健委員会の時間に、小学5~6年生へ「何のために姿勢よくするんやろ?」と問いかけた時、
「周りのみんなの気分がいいから」
「(学校の)外から来た人達の気分がいいから」
という答えが返ってきたことに、ちょっと驚いたからです。

どんな答えが返ってくるか予想していなかったのと、
声に出して答えてくれたこと自体がうれしかったので、
「ちょっと」驚くで済みました。

そして子ども達が、まず自分のためでなく、他人の目のために「姿勢よくしなくちゃ」と思うのなら、
大人の側から、ただ「姿勢よくしなさい」と言ったり、
役立つとされる運動だけ伝えても、ピンとこないかもしれないな、という気がしました。

そこで、まどろっこしいのですが、
・姿勢って何?(いつから、どんな意味で使われているのか?)
・何をもって「よい/よくない」を言えるのか?
という問いから、話を始めました。

(僕なりの答えについては、文末に…)

案外、児童も先生も、このパートを面白そうに聞いてくださったので、安心しました。

その後のパート、よい姿勢を育むための具体的な手立てについては、実際に体を動かすので、やはり盛り上がります。

今回は、
①「よい/よくない」の目安になる、体のきざし
②「よくない」に気づいた時の、処し方
③体の構造を大切に、まずは「上下」の運動を
④体の構造を大切に、手足の協調運動を
という段階を踏んでみました。

これは、武術や徒手療法をご指導くださる先生方の知恵を、いただきました。

学校の先生方に興味を持ってもらえると、俄然、取り組みも盛り上がってきます。
「せっかくだから、垂直跳びや立ち幅跳びを記録して、経過を追っていこう」
などのアイディアも、実現しそうです。

それはそれとして、子ども達の中に、体や自分に気を向ける種みたいなものが残れば、
こんなに嬉しいことはありません。

ちなみに、「姿勢」って何かといえば、
独語Korperhaltung(英語Body+Posture)の日本語訳(明治時代のこと)
①体の構え。②物事に対する構え。態度。(三省堂 大辞林)

何をもって「よい/よくない」とするか?については、
構えとして、目的に適っているなら「よい」。適っていなければ「よくない」。

そこで、目的を「生きるために学ぶ」こととするなら、「よい/よくない」の目安は、
生命活動(呼吸、飲み込み、脈拍、消化)と、身体の動性。それらに支えられた意欲。

なお、子どもを育むうえでは、「一見、よい姿勢(構えになっていない、目的に適っていない)」に要注意。
と、僕は考えました。

だるま園7月 ご案内

土や火とともに、忘れたくない、水あそびの経験。

はだしで触れる川底。水の冷たさ。
小さな生きものに目をこらし、水草の匂いをかぐ。
川のせせらぎを聞き、季節のものを食べる。

ほどよい警戒心を忘れず、五感を開放してみます。

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【ご案内】
テーマ:「水あそびとスイカ割り」
とき:2019年7月14日(日) 10時~11時30分(雨天中止)
ところ:住吉川
集合:神戸市立東灘図書館前(神戸市東灘区住吉東町2丁目3-40)
案内人:中西 眞(理学療法士、ネイチャーゲームリーダー)
参加費:大人(18歳以上) 1,500円、子ども500円、未就学児 無料

【お申込み】
メール:info★daruma7korobi8oki.com(★を@に変えて)または、
整体だるま堂 https://daruma7korobi8oki.com/ お問い合わせフォームから
参加希望者の、①お名前と②年齢をお知らせください。

 

だるま園「ころびかた教室」@アースデイ神戸 ご報告

5月4日、5日開催のアースデイ神戸。
「かんじる、つながる、かえられる」をテーマに、環境や、多文化共生に思いをはせる二日間。
食、衣、育などについて、お店やライブ、ワークショップが集まっていました。

その中で開かせていただいた、だるま園「ころびかた教室」。
「ころびかた自体は練習できないのに、どうして上手な人と下手な人がいるんだろう?」
という問いかけから始まりました。

 

今回は、
「手をつく」と「前脚で着地する」の、構造的な違い。
生き生きとした反射を保つための、いくつかの条件。
など、「ころぶこと」に詰まったヒントをお伝えしました。

 

2歳から50歳代まで、みなさん楽しんでくださり、それぞれの目標もクリアできたので何よりです。
これからの日々の過ごし方に、ささやかでも役に立てば幸いです。

うちの子ども達も、たくさんの大人、学生のみなさんに遊んでもらい、はしゃいでいました。
身の丈でできる「共生」について、あらためて考え、感謝した二日間でした。

ありがとうございました!

 

だるま園5月「ころびかた」教室 ご案内

5月のだるま園は、アースデイ神戸にて「ころびかた」教室を開きます。

アースディ神戸とは

理学療法士が伝えたい「ころびかた」教室
日時:5月4日(土)、5日(日) どちらも14:00~15:00
場所:みなとのもり公園(神戸震災復興記念公園)芝生会場
参加費:一人500円

ころんでも、大けがしない。いつでも楽しくころがれる。
「ころぶ」「ころがる」の中につまった、大地と仲良く、すこやかな体を育むヒントをお伝えします。

アースデイ神戸2019

だるま園5月「ころびかた教室」@アースデイ神戸

5月のだるま園。
4日(土)5日(日)に開催される、アースデイ神戸2019のワークショップとして、「ころびかた教室」を開きます。
芝生の広場で、「ころぶこと」を通して、すこやかに逞しく生きるヒントをお伝えします。

みなとの森公園(神戸震災復興記念公園)にて。
「ころびかた教室」は、両日14時~15時。参加費500円です。

アースデイ神戸は、「感じる、つながる、変えられる」をテーマに、地球のことを思う日。
食、音楽、ものづくりなど、環境や他文化について知るきっかけが、たくさんあります。
今年は100以上の出店、ワークショップがあるそうです。
ボルダリングコーナーや、子ども達が自分の手で組み立てていく「木のジャングルジム」もあるとのこと。
http://earthdaykobe.com/

だるま園4月「春の野遊び」ご報告

4月7日(日)のだるま園。
焚き火をしました。

燃えやすいものを探す、薪を細かくする、火をつけてみる。
ただそれだけなのですが、大人も子どもも、ちゃんと気の向くことを見つけます。

主催する僕としては、「ただそれだけで、何もしない」ことに、少し自信がつきました。
何もしないけれど、こういう時、芋とコーヒーがおいしいのは大事です。

だるま園4月「春の野遊び」ご案内

土から離れすぎないこと、草木の匂いを嗅ぐこと、火を扱うこと。
人が健やかに生きるうえで、単純だけれど忘れたくないことを、あらためてやってみます。だるま園2019.4

【ご案内】
テーマ:「春の野遊び」
とき:2019年4月7日(日) 10時~12時
ところ:雨ノ神公園(神戸市東灘区住吉本町2丁目25-28)
案内人:中西 眞(理学療法士、ネイチャーゲームリーダー)
参加費:大人(18歳以上) 1,500円、子ども1,000円、未就学児500円

【予定していること】
・焚き火
・じゃが芋を焼く
・お茶、コーヒーを淹れる
・「自然を五感で体験する」ネイチャーゲームを、いくつか

【お申込み】
メール:info★daruma7korobi8oki.com(★を@に変えて)または、
整体だるま堂 https://daruma7korobi8oki.com/ お問い合わせフォームから
参加希望者の、①お名前と②年齢をお知らせください。

池上正さんファミリー野外教室のこと

池上正さんのファミリー野外教室に、家族で参加しました。
池上さんは、『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』 (小学館,2008)、『叱らず、問いかける 子どもをぐんぐん伸ばす対話力』 (廣済堂出版,2013)などの著書もある、サッカー指導者です。

真冬を除いて月に一度、大阪府千早赤阪村で開催されている、この教室。
池上さん自身が、「この場所のいちばんの良さは、遊び道具が何もないところです」と仰るとおり、あるのは小山と広場と炊事場くらい。

薪割りや火つけ、炊事など、最低限の段取りだけがあり、決められた役割分担もありません。
子ども達は、勝手に自分の好きなことを見つけて、没頭します。

木を切る、火をつける、食事を作る、小山を駆け下りる、落とし穴を作る、自分の背丈の何倍もある竹を運んでくる…。
そんな時間を過ごしているうち、子どもの(大人も)体の密度が高まってくるように見えました。
ぱつんぱつんに、弾けそうな「いのち」を感じます。

「この木、どうしたらいい?」と子どもに聞かれ、池上さんの答えは「考えてごらん」。
窮屈そうに作業する子どもには、「自分が動きやすいように、周りに落ちている物を整えてみたら?」。
与えるだけの指導はただの一度もなく、問いかけだけが豊かな、一日でした。

何もなければ、工夫して遊び始める。
問いかけだけあれば、自ら学び始める。
「いのち」は必ず、守られている。

いやもう本当に。これ以上に大切なことって、あるんかな。
こんな場を、自分の住む街でも当たり前にしていきたいな。
と、あらためて思いました。

「だるま園×アウトドア防災」ご報告

あんどうりすさんをお招きし、アウトドア防災講座を開きました。

りすさんは、24年前の阪神淡路大震災を尼崎市で被災されています。

その体験をもとに、アウトドアには「自分で自分の命を守る知恵が詰まっている」と感じて始め、その魅力にのめり込んでいったそうです。
また、出産・子育てを経て、自分の命を守るだけでは足りないことや、当時の防災・減災のアドバイスには、被災体験や実生活とかけ離れたものが多いことにも気づいたといいます。

このあたりの経緯や、アウトドアの知恵を防災・減災にどう役立てるかについては、『りすの四季だより 家族の笑顔を守る暮らしの知恵』(新建新聞社,2017)に詳しいです。P_20181129_165529_1

現在は東京にお住まいで、年間100回以上の講演をされる、りすさん。
今回、1月17日に神戸市内の企業と小学校でご講演なさるとのことで、前日に、だるま園へお招きできました。

全国で講演していると、
「神戸は一度大きな地震があったから、もう起こらないです」
「うちの地域は、小出しに地震がきているから、大きな地震はないと思います」
などの、不思議な(?)ご意見も聞くそうです。
(おっしゃるお気持ち、分からなくはないですね)

けれど実際には、地震だけを取り上げてみても、日本に200以上ある名前のついた活断層は、今後いつ大きく動いてもおかしくない、とのこと。
また日本は、過去の災害時、「被災者の我慢」を前提に乗り越えてきた(たとえば、避難所が設置されないまま体育館で生活するなど)ため、傾向として防災・減災の知恵の蓄積が少ないそうです。
(避難所運営について国際基準があること、僕は知りませんでした)P_20190116_140740.jpg

「アウトドア防災」についての、りすさんの怒涛のお話(めっちゃエネルギッシュ)は、実際に聴いていただくか、本を読んでいただくのが絶対におすすめです。
ご参加の皆さまの反応が大きかった話題をいくつかあげてみると、

・地震で揺れている最中は、動けないものと思え(揺れた時のポーズを決めていても、とれる可能性は低い)
・そのぶん、建物の耐震性、家具の固定、保険加入などは、日頃の備えが大切
・残念ながら、災害時の性犯罪被害は起こっている(被害者の服装は関係なし。高齢女性や男性が被害にあう例も)。
・災害時、トイレの水は流さない(水が流れても、配管が壊れていたら漏れるor溢れるだけ)
・「1時間100ミリの雨」の重大さを知る、子どもが避難できる水嵩を知っておく
・テントやダウンウェアの蓄熱の原理を知る(車中泊や、ダウンウェアを誤って使うと寒い)
・「バーベキューをしないキャンプ」で、星空を眺める時間をもつ。

これらの話題一つ一つに、具体的な学びがあるのですけれど、「対策をおぼえよう」とか「対応例に○×をつけよう」というわけでは、ありません。

むしろ、自然相手の状況判断に「○か×か」はないので、日頃から、ものごとの仕組みに遡って考えるくせや、自分のおかれた状況を知る習慣をつけておくのが大切です。

・布一枚での抱っことおんぶ
・古武術介護を応用した救助例
なども紹介していただきましたが、これらも、重心位置や、体にかかる力の配分などで、わかりやすく説明してくださりました。

防災・減災を、日常とかけ離れたことと捉えてしまうと、つい後回しにしてしまいます。
日頃の考え方や、体の経験として習慣づけておくと、いいかもしれませんね。
ご参加の皆さまも、それぞれの琴線に触れたことを、持ち帰ってくださったようです。
ありがとうございました。

整体とアウトドア、そして防災・減災。
一見、かけ離れてみえるかもしれませんが、
「いかなる状況にあっても、その人らしく生を全うする」
という意味で、僕は近しいものを感じています。

これからも折りに触れて、今回の復習会や実践を続けていこうと思います。
あんどうりすさんをお招きする機会もまた作りますので、ご関心が湧いた方は、ぜひ次回お越しください。

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だるま園「大人も子どもも育つバランス」 ご報告

12月16日、「大人も子どもも育つバランス」と題して、だるま園に小関勲先生をお招きしました。

小関先生と出会わなければ、だるま園のような、大人と子どもが学びあう場を開こうなんて、思いもしなかったでしょう。
そんな恩師を招いた日。

子どもは会場に入るなり、バランスボードやけん玉で遊ぶ(そしてすぐ飽きる)という、まっとうな過ごし方を。

前半は小関先生にお願いし、ヒモトレなどで、体との「距離感」、体の「色合い」の変化をみていく時間となりました。
近すぎると嫌な相手(体)も、離れて眺めると、そう悪くなかったり。
遠目で見ていると怖かった相手が、近づくと好ましくなったり。そんな「距離感」をヒモトレで経験し。

また、ヒモにあずけて動くにしても、ヒモの輪を「○」にしておくか「8」にしておくかで、
連動のしかた(色合い)が変わることを経験しました。
何度となく聴いてきた小関先生のお話も、今回はまた印象に残るところが違い、
そんな自分の変化も含めて面白かったです。小関先生ヒモトレ

後半は中西から。
・お尻歩きで「座っている」と「座れている」の違いに気づく
・脚の動きが気になる状況での、上半身のあり方に気づく
・しゃがめる人の「座る」を、体で知る
・「座れる」ようになった自分を楽しむ
などをお伝えしました。

たぶん運動だけでも、最終的には「座れる」を経験できるのですけど、ヒモトレをまじえてお伝えすると、
「それまで思い描いていた自分」と「本当はできてしまう自分」のギャップが楽しく、
小関先生のおっしゃる「距離感」を知るにはもってこいだと、あらためて。

そして最後に、「だるまさんがころんだ」や「足音なく着地」での、体のまとまりを確かめました。
ヒモトレ経験のある方にとっては、お腹ヒモのような感じです。
子どもに伝えるためにも、無自覚に子どもの邪魔をしないためにも、
大人が「ああ、この感じ!」という経験をしておくのは、価値があるように思います。

そんなわけでだるま園では、子どもの遊び経験ももちろんですが、大人の「遊びなおし」という事も、大切にしていきます。

あらためて、だるま園でしている事、これからしていく事の輪郭が、見えてきました。
これもご参加くださった皆さんのおかげ、小関先生のおかげ、辻さんのおかげ、(そして妻のおかげ)です。
感謝。