関根秀樹の≪縄文流 アート&ブッシュクラフトワークショップ≫ 11/5(土)によせて

講師の関根秀樹先生から、11/5(土)のワークショップについてメッセージを頂きました。とても読みごたえがあり、今からもう面白いので、皆さま是非お読みください。

ここ数年、サバイバルやキャンプ、北欧発のブッシュクラフト(先住民の暮らしに学ぶ野外生活術)や焚き火が人気です。
喫茶店のマッチなどほとんど見なくなった一方で、
発火合金(ミッシュメタル、フェロセリウム)を使ったメタルマッチ(ファイヤースターターという言い方も)が100円ショップでも買える時代。
半世紀前の中学2年ごろ(1974年)、少年マガジン巻末の通販で買ったアメリカ陸軍特殊部隊御用達のマグネシウム付きメタルマッチは
1ドル300円の時代で2700円くらいしたはず。

火起こしの道具と言えば、小学5年の春、科学クラブで初めて教わったのは
塩素酸カリに黒砂糖を混ぜ、濃硫酸を1滴たらすと火柱が上がる実験。
学研の「5年の科学」という雑誌のふろくには太陽熱を集める凹面鏡の実験セットもあり、
氷でレンズを作って火を起こす実験もしました。古代中国でも道教の道士がやった方法です。

和光大学に入学したら、となりの学科に古代発火技術や原始技術史の岩城正夫先生がいて、
研究室には父の本棚で読んでいた板倉聖宣著『仮説実験授業』がありました。
非常勤講師で来た板倉先生からは、「仮説実験授業は、小学校からの親友の岩城君が学生時代に基本的な構想を作り、
ぼくが完成したんだよ」と聞かされました。

岩城先生の元で古代の火起こしを学び始めたのは1981年。工業デザイナー秋岡芳夫先生の書斎でブッシュクラフトや
グリーンウッドワーク(先住民や山村に伝わる生木木工)の洋書に出会ったのも同じ時期でした。
そして、学研の「科学」のふろくをデザインしたのが秋岡先生だったと知ったのも。

そして今、和光大学では「火と人間の文化史 縄文流ブッシュクラフト入門」で火起こしや古代技術、民族技術を伝え、
「音と楽器のミンゾク学」では古代楽器や民族楽器、現代美術のサウンドオブジェなどについて講義や実習をしています。
桑沢デザイン研究所では秋岡先生が担当していた「生活デザイン学」の後継として
「プロダクトデザイン論 手で考える道具と技術」で、木を削ってスプーンや楽器を作り、ナイフの研ぎ方も教えています。
自分のナイフを持ったことがなく、スギと松の区別もつかず、木を削った経験もほとんどない人たちを相手に。

学生時代から40年、「火起こし世界チャンピオン」として、多くの雑誌や本やテレビで、
あるいは全国各地でのワークショップで、古代の火起こしや焚き火の技術・文化を紹介してきました。
「アイアム冒険少年」という番組でも火起こしを指導し、道具を供給しています。

しかし、残念なことに、近年流行りのブッシュクラフトは日本の農山村やアイヌ民族などにもともとあった文化を反映せず、
焚き火の組み方もリーンツーファイヤだのハンターズファイヤ、トラッパーズファイヤだの英語そのまま。
火口(ほくち)や焚き付けはティンダーだのキンドリングだのと呼ばれ、
削りかけ、削り花はフェザースティック。肥松や松ぶしをファットウッド。消し炭をチャークロスなどと呼ぶ始末。
足元の自分たちの文化の源泉もろくに知らずに輸入物、翻訳物だけをありがたがるブッシュクラフトなんて、
本来のブッシュクラフトの意味を理解していないとしか思えません。

刃物を使いこなすことと、火を起こし、火を焚くことは、人間の生活技術や文化の基本。
それに、そこから無限に広がるさまざまな楽しみの出発点です。
このワークショップでは、ナイフで木を削り、ものを作る楽しさや、
木と木をこすり合わせて自分の手で火を起こす楽しさを、初歩の初歩から体験します。
ただノウハウを学ぶ講座ではありません。五感を研ぎ澄ませて、手元や動き、姿勢をよく見て、感じてください。

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